核ミサイル頼み 飢える朝鮮人民軍兵士の不満爆発寸前 (1/3ページ)
北朝鮮では金正日総書記の時代から、すべてにおいて軍事を優先する『先軍政治』をスローガンに掲げてきた。だが、金正恩委員長の時代に入ってからは、地上軍の弱体化が顕著だ。背景には兵卒たちの飢餓がある。任務より略奪や闇ビジネスが優先され、軍紀が乱れまくっているのだ。
弱体化を招いているのは軍だけではない。国内の不満分子を逮捕し、強制収容所送りにしてきた国家保衛省(秘密警察)もまた弱体化している。北朝鮮では、人民軍と秘密警察が体制維持の両輪だ。両輪が外れれば金正恩体制は転覆する。
人民軍の弱体化は、一昨年に当時の玄永哲人民武力部長(日本の防衛相に相当)が高射砲で“ミンチ処刑”されたことでも明らかだ。秘密警察トップだった金元弘も一時解任され、幹部らも高射砲で処刑された。
兄・正男の暗殺が稚拙だったのは、暗殺のプロ集団人民軍総参謀部偵察局の作戦行動ではなく、失地回復を狙った秘密警察だったからという説が根強い。
北朝鮮では10年以上前に配給制度自体が崩壊し、軍人や秘密警察の要員だからといって優先的に配給を受け取ることができなくなっている。
「平壌に住む上流階層以外の国民は、闇市(チャンマダン)に進出し、商売などで自活せざるを得なくなっています。一方、軍の将校は食糧の横領、秘密警察や警察(人民保安省)は国民や犯罪組織からワイロを受け取って生活するありさまです。こうして警察機関の監視が不十分になったことで、国内の治安は悪化しつつあります。北朝鮮には'90年代に両親を失って路上で生活する“コッチェビ”が登場しましたが、生きながらえた者の一部は不良グループを形成し、次第に武装化。日本でいうヤクザ集団化しています。カネのある彼らは将校や佐官をアゴで使っているのです」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮内部に不穏な空気が流れるさなか、またもや多数の中長距離弾道ミサイルや大陸間弾道ミサイルを工場から移動させ、発射準備を進めていることが明らかになった。米韓両軍は、10月10日の朝鮮労働党創建記念日の前後に、再びミサイルを発射するのではないかと警戒を強めている。
正恩委員長は核・ミサイル開発および作戦を担う戦略軍司令部やサイバー戦力強化に資源を集中しており、食糧不足もあって野戦地上軍に対しては冷たい。