世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第245回 枠組みの問題 (2/3ページ)
AfDの躍進を受け、かつては、
「政治難民受け入れに上限はない!」
などと大見えを切っていたメルケル政権も、難民制限を検討せざるを得なくなった。AfDは別にナチスでも何でもなく(移民政策も筆者に言わせれば「穏当」だ)、代表的な「保守的な反グローバル化」政党である。
また、'17年10月15日、オーストリア総選挙(下院選挙)の投開票では、中道右派で31歳のクルツ党首が率いる国民党が31.4%を獲得し、第一党の座を確保した。同時に、国民党以上に「保守的な反グローバル化」色が強いオーストリア自由党が27.4%と躍進。
オーストリア国民党は、実は'17年5月までは自由党に支持率で水を開けられていたのである。ところが、国民党は5月に、移民に対して厳しい姿勢を見せるクルツ外相を党首に据え、一気に「反移民」へ舵を切った。要するに、オランダのルッテ首相同様に、「保守的な反グローバル化」の色が濃い政党(オーストリア自由党)の政策に抱きついたわけだ。
結果的に、
「移民や難民が増えているのは問題だが、エキセントリックな自由党はちょっと…」
という支持層、恐らくは元々は社民党支持だったのだろうが、有権者の多くが一気に国民党支持に変わったようである。
また、10月21日に投開票されたチェコの総選挙では、EUやユーロの導入に反対の立場を掲げるANO2011が得票率29.7%(78議席)で勝利した。さらに、EU懐疑派の右派「市民民主党」が11.3%(25議席)で第二位。チェコの場合、図(※本誌参照)のマトリクスの右下が明確に「勝利」したのである。
欧州だけではない。ニュージーランドでは'17年9月に総選挙が行われたのだが、首位の国民党、二位の労働党など、どの政党も過半数に達しなかった。結果的に、連立交渉が行われていたのだが、結局、労働党が移民や外資の規制を公約に掲げる「ニュージーランドファースト」と連立し、政権が発足することが決定。NZファーストは、言うまでもなくマトリクスの右下「保守的な反グローバル化」政党である。
現在の先進国では、保守的な反グローバル化の政党が勝たなかったとしても、それなりの票や支持を獲得し、政治全体の影響を与え始めているのである。