世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第247回 続・財務省が日本を滅ぼす (2/3ページ)

週刊実話


 その状況で、財務省は、
 「デフレで他の産業の賃金は下がったが、医療は下がっていない」
 という、恐るべき理由で診療報酬の本体部分の削減に乗り出そうとしているのだ。そもそも、日本をデフレに叩き込んだのは、緊縮財政路線を強行しようとする財務省であるにも関わらず。
 まさに、「医療亡国」としか言いようがない。

 このままでは、我が国はおカネを払っても医療サービスを受けられなくなる。医療の供給能力が縮小していく以上、当然だ。
 あるいは、日本は、
 「お金持ちは医療を受けて助かるが、おカネがない人は医療を受けられない」
 という、アメリカ型の社会に変貌を遂げることになるだろう。

 そして、介護サービス。
 介護の有効求人倍率は3倍を超え、産業としては医療や運送、土木・建設を上回り、日本で最も人手不足が深刻化している。理由は、給料が安すぎるためだ。
 介護の平均給与は、産業平均と比較し、女性が月額▲3万円、男性が月額▲10万円と、悲惨な状況に置かれている。その状況で、財務省は「利益率が高い」などと言いがかりをつけ、介護報酬を削ろうとしているのだ。

 厚生労働省が10月26日、介護産業の利益率が激減している事実を示すレポート「経営実態調査」を発表した。同レポートによると、2016年度の介護関連企業の利益率にあたる収支差率は、全介護サービスで3.3%。介護報酬減額('15年)前の2014年度の7.8%から、大きく落ち込んでいる。
 この状況で、さらなる介護報酬削減に踏み切ると、どうなるか。
 高齢化で需要が増え続ける中、介護報酬が削減され、今度こそ介護業界は「赤字が常態化」する事態になる。そうなると、事業を継続する意味がなくなるため、日本は介護の供給能力が激減し、高齢者が介護サービスを受けられなくなる形の「介護亡国」に至る。
 介護業界の人件費はさらに下がり、日本人が職に就かなくなり、11月1日に技能実習制度が介護分野にも解禁されたことを受け、我が国は「介護? ああ、外国人がやる仕事か」と、国民の多くが考えるようになってしまい、移民国家へと全速力で走っていくことになるだろう。

 財務省の緊縮財政路線は、診療報酬・介護報酬の同時減額にとどまらない。
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