世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第251回 橋が通行止めになっていく国 (2/3ページ)
滋賀県米原市は、判定区分4に認定された橋を「架け替えは費用が高額」として、撤去した。
専門家の調査によると橋の老朽化が進んだ結果、今後50年間に全国の自治体で橋の維持管理や改築に必要となる費用は約27兆3000億円。1年当たりに換算すると、およそ5500億円に上るとのことである。すばらしいことだ。何しろ、わが国はデフレーションという総需要の不足に悩んでいる。50年間も継続する需要。しかも平均すると毎年5500億円規模。これだけ「長期安定的」な需要があれば、土木・建設会社が本気になって投資、人材確保に乗り出し、生産性向上のための技術も発展していくことになるはずだ。
政府は橋の老朽化を「チャンス」としてとらえ、建設国債を発行し、自治体の橋梁メンテナンスを支援するべきだ。全額、中央政府が負担しても構わない。というか、そうするべきである。ところが、現実の日本政府は相も変わらぬ緊縮財政路線で、国土の基盤たるインフラの整備にすらカネを出し惜しむ。結果的に、我が国は次第に「橋の向こう側に行けない」発展途上国と化している。
日本には、河川法で管理される一級河川が約1万4000もある。さらに、二級河川の数が約7000。2万を超す川により、土地や地域が「分断」されているのが日本の国土なのだ。日本は、河川に橋を架け、土地と土地を結び付けることで発展してきた。それが今や、橋の架け替えについて「財政」を理由に怠り、土地と土地が分断されている。わが国は、退化している。
このまま橋の老朽化に真っ当な手を打たない状況が続くと、やがては土木・建設の供給能力がさらに毀損し、「おカネ(予算)があっても、もはや供給能力がないため、橋を架けられない」国へと落ちぶれることになるだろう。すなわち、発展途上国化だ。
当然ながら、国会議員は議員立法等により特に対応が遅れている地方自治体の橋のメンテナンス、架け替えのための予算措置を講じるべきだ。ところが、財務省が異様なまでに固執する緊縮財政路線、すなわちプライマリーバランス(PB)黒字化目標が原因で、
「橋の架け替えに予算を増やす。ならばどこの予算を削るのか? あるいは増税するのか?」
といった、ばかげた事態になってしまうのだ。