~東電OL殺人事件~冤罪の裏事情 (3/4ページ)

日刊大衆

事実、この裁判では少し妙な流れがありました。一審で無罪判決が出た場合、普通なら不法滞在者のゴビンダさんは強制帰国になるはずなんですが、逃亡の恐れがあるとして検察が裁判所に勾留の要請をしたところ、なんと最高裁がこれを認めたんです。そして二審で待ち構えていた東京高裁の裁判長は、その4年前に足利事件(註1)の控訴を棄却した人物。まるで逆転有罪を期待しているかのような展開でした。ちなみに、一審で無罪判決を下した裁判長は、その直後に八王子支部へ異動して、その後、地方の裁判所を転々とした後に、東京へ戻ることなく依願退職しています」

 これだけ冤罪の可能性が高かった事件であるにもかかわらず、公平の立場でなければならない裁判所が有罪にこだわった理由は何か。

「一つは、司法機関としてのプライドと危機感でしょうね。外国人の冤罪なんて、国際問題になりかねない事態ですから。そして、もう一つが、これも判検交流の弊害のような気がするんですが、検察官の“将来”のためです。検察官が検事を退職すると、大企業の顧問弁護士や財団法人の理事になるケースが多い。いわゆる“ヤメ検弁護士”ってやつです。そういった名誉職を得るためには、冤罪を出して経歴に傷がつくと、都合が悪いんですよ。要は、すべて“面子と保身”のためだってことです」

 不幸中の幸いと言うべきか、後に弁護側の再審請求が認められ、2012年にゴビンダさんの無罪が確定したが、司法の面子と保身のために失われた彼の15年間が戻ることはない。

「警察も検察も、そして裁判所も、それぞれの立場から、罪を裁くという正義感の下に職務を遂行したことは事実です。ただ、その正義感が歪んだ方向に向かうことがある。そして、どこかで一度ボタンをかけ違うと、元に戻すのは非常に難しい。司法への信用の失墜につながりかねませんから。結果、嘘に嘘を塗り重ねなければいけなくなる……それが、冤罪の起きる“からくり”なんです」

 まるで本末転倒の話だ。そんなことは、絶対に起きてはならない。この失われた15年は、事件の解決にとっても、非常に大きい。振り出しに戻ったこの事件の真相が究明される日は、はたして、いつになるのだろうか―。

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