鈴木哲夫の政界インサイド「石破茂直撃で感じた18年総裁選『出馬』の意欲」 (2/2ページ)
記者会見でもいいから納税者にきちんとした説明をするのが国税トップの務め」
当然だが、安倍首相の政策にも手厳しい。
「(アベノミクスの)大胆な金融緩和や機動的な財政出動なんて、いつまでもどこまでも続くはずはない。このまま潰れるのか、次の世代に何か残せるのか、その瀬戸際に来ている。地方には経済、サービス業など伸びしろと潜在力がある。いつの時代も、国を変えるのは地方。地方のポテンシャルを最大限に引き出すのが次代の政治の使命です」
石破氏は総選挙後、多い時は週4日も地方を回っている。講演や勉強会である。地方にこだわるのは、まさに「地方」が構想の軸だからだ。総裁選に向けた政権構想を「18年6月頃にはまとめたい」との意向を示す。
現在、永田町で石破派は19人。だが、石破氏の側近議員はこう語る。
「地方からの講演要請はひっきりなしに来る。それぞれの支部などで石破待望論が強まれば、その地域の国会議員だって、安倍さんというわけにはいかなくなる」
総選挙で大勝した安倍政権の内閣支持率は回復したが、一方で総裁選3選について「安倍首相以外」という世論が半数を超えている。それは「モリカケ問題」の対応への不信感が大きな原因だ。安倍政権への逆風が吹く素地は残っている。
ライバルがいてこそ、安倍首相も成長する。そして弛緩した政治も引き締まる。石破氏は「政治家としての責任」を、出馬という形で果たすことだろう。
ジャーナリスト・鈴木哲夫(すずき・てつお):58年、福岡県生まれ。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、日本BS放送報道局長などを経てフリーに。新著「戦争を知っている最後の政治家中曽根康弘の言葉」(ブックマン社)が絶賛発売中。