ハート出版、『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る 侵略に気づいていない日本人』を刊行。中国の侵略招いたチベットに酷似した日本の現況に警鐘。 (4/5ページ)
しかし時間をかけて考えていくとペマ氏もその意味するところがはっきりわかってきた。難民である私を、空襲も停電もなく、思う存分勉強できる日本に温かく迎え入れてくれた先生方、日本語をはじめいろいろ教えてくれた周りの方々の応援があればこそ、試験にも合格できたのだ、自分の力だけで達成したという傲慢さを捨て、応援してくれた全ての人々の「おかげさま」によるものだと受け止められるようになってからは、素直に「おかげさまで」という言葉を出せるようになった、という。
かつての日本企業の強みも「おかげさま」精神にあった。自分の会社の成長だけを考えるのではなく、国全体の利益を考え、社員を共同体の一員として守り、社員も会社のために尽くしてきた。
しかし、この美しい礼節、道徳、協調の共同体であった日本の精神は、GHQの統治後、徐々に壊れていき、自らの手でも破壊していった。その結果、日本の強さは失われていき、国力は停滞した。
五輪で金メダルを取った日本人選手が「応援してくださった皆様のおかげで」とコメントするのも、応援者が「日本人すごい」と自然に口に出るのも、両者ともに強い共同体意識があるからだ。しかし残念なことに、「すごいのは日本人じゃない、選手だ」と水を差す人たちが少なからずいる。これは共同体の中の「おかげさま」の関係を断ち切ろうとするものであり、こういった思想が日本を害してきたのだ。
「おかげさま」精神の復興によって日本の国力を高め、外国からの侵略に備えることも重要だが、ペマ氏は「おかげさま」精神は世界平和に貢献するきわめて重要なと思想であると指摘している。
台湾やトルコなど「おかげさま」精神で日本を助けてくれる国がある。その一方で、「おかげさま」精神と対極にある国もあり、日本はいつも酷い目にあっている。
ペマ氏の考えているように、「おかげさま」精神がすみずみまで行き渡った世界は、きっと平和に満ちた世界に違いない。
ペマ氏はダライ・ラマ法王を靖国神社に案内したことがある。チベットにも、靖国の英霊たちと同じく、国家存亡の危機に対し、捨て身の精神で中国軍に立ち向かい、散っていった人たちが大勢いた。しかしその記録は何も残されてない。