あの『怖い絵』もここにあり。英国の至宝、ナショナル・ギャラリーで見たい名画11選 (2/10ページ)
視覚的な恐怖だけでなく、絵の時代背景や人物、動作などに隠された意味を紐解くことで、その絵が持つ『本当の恐怖の意味』を見る者に伝え、大盛況のうちに幕を降ろしました。
そしてその怖い絵展の目玉作品として日本初公開され大反響を呼んだのが、非業の死をとげた若きイングランド女王の最後の姿を描いた「レディ・ジェーン・グレイの処刑」です。ナショナル・ギャラリーから過去に貸し出されのは2度だけという重要な作品であるがために交渉は難航を極め、ようやく貸し出しにこぎつけたという本作は、半年に及ぶ日本での公開を終え、再びナショナル・ギャラリーの壁に掛けられました。

フランスの画家、ポール・ドラローシュの手によって目を見張るほど大きなカンバスに描かれているのは、政略結婚の末、前国王の崩御後、義父の陰謀により15歳の若さで女王の座にまつりあげられた「9日間の女王(9 Days Queen)」レディ・ジェーン・グレイ。
由緒正しい血筋に生を受け『イングランド一の才女』との呼び声もあった少女は、激しい権力闘争と宗教対立に翻弄され、1553年7月10日の女王即位からわずか9日後に反逆者として逮捕され、「ロンドン塔(Tower of London)」に幽閉されました。裁判の結果は、死刑。そして1554年2月12日、16歳となっていたジェーンは斬首刑に処されたのです。

実際は黒装束に身を包んでいたジェーンですが、ドラローシュはドレスを純白に描くことで彼女の潔白を表現したそう。そして処刑場も、絵に陰影をつけるために実際の屋外から室内に置き換えて描かれています。