あの『怖い絵』もここにあり。英国の至宝、ナショナル・ギャラリーで見たい名画11選 (8/10ページ)

11. The Fighting “Temeraire”, tugged to her Last Berth to be Broken up
(解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号)
最後に忘れてはならないのが、ロンドンの下町で床屋の息子として生まれ、イギリスを代表する画家となったウィリアム・ターナーです。
この作品に描かれているのはその名のとおり、1805年にトラファルガーの戦いでイギリスのネルソンが勝利した際に重要な役割を果たした戦艦テメレール号が、1838年にその役目を終え解体場にひかれていく様子です。
ターナーの代表作にして最も人気のある作品と言われています。

『ぼんやりとした風景画』を描く画家、との印象があるターナーですが、実物を見るとその『ぼんやり』が実にドラマチック。
黄色ともオレンジともピンクとも青とも紫とも言い表せない夕暮れの空を背景に、テムズ河の水面に反射する夕陽の中、乗組員がいなくなった大きな空の船が、この時代に活躍しだした小さな蒸気船にひかれています。
栄華と衰退、新しいものと古いものというコントラストが、燃えるような夕焼けと穏やかな水辺を背景に表され、その光景はきっと見る者の心に残るものとなるでしょう。

もちろん、ここでご紹介した作品以外にも、ミケランジェロ、ルーベンス、カラヴァッジョ、レンブラント、ドラクロワ、フェルメールなどの貴重な作品が惜しげもなく展示されていますので、時間の許す限り是非他の作品もお楽しみください。