世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第259回 国土経済学 (2/3ページ)
わが国は震災大国であり、台風や豪雨で水害、土砂災害が多発し、火山が噴火する自然災害大国なのだが、同時に世界屈指の「豪雪国」でもある。人口10万人以上の世界の都市の年間降雪量を比較すると7位が秋田市、3位が富山市、2位が札幌市、1位が青森市と、世界ベスト10に4市がランクインしている。
カナダのバンクーバーやロシアのモスクワなどは、確かに日本よりも寒い。とはいえ、豪雪に見舞われるわけではない。100万人都市では、カナダのモントリオールが年平均2メートルを超す降雪になるが、札幌市は何と6メートル超! 人口80万人を超す新潟市が2.5メートル。
日本で降雪が多いのは、国土が細長い弓型で、真ん中に脊梁山脈が走っており、北方から日本海の湿気を含んだ空気が流れ込むためだ。脊梁山脈にぶつかった湿気を含む空気が、日本海側に豪雪をもたらすわけである。参考までに、世界山岳気象観測史上、年間積雪量の世界記録は、滋賀県の伊吹山(約12メートル)である。
驚くべきデータをご紹介しよう。日本のGDPは、世界の6%程度であるのに対し、災害被害総額の17.5%がわが国なのだ(平成26年版防災白書)。日本列島は、GDPという経済規模に比して、諸外国と比べて3倍の災害被害を受け入れなければならない国土なのである。ちなみに、'80年から'13年までの世界の災害による被害総額を見ると、東日本大震災(約2000億ドル)が首位となっている。3位は、約1000憶ドルの阪神・淡路大震災。
首都直下型地震の30年以内の発生確率は70%。南海トラフ巨大地震(東海地震、東南海地震、南海地震の連動)が30年以内に発生する確率は、50〜87%。自然災害大国である以上、日本政府が技術投資、公共投資により「国民を地震から守る」プロジェクトを継続すれば、わが国が「需要不足」に陥ることなどあり得ない。むしろ、供給能力不足によりインフレの可能性が高まるだろう。
技術投資や公共投資は、もちろん「GDP」という総需要の一部を成す。それにも関わらず、現実のわが国は「需要不足」というデフレーションに苦しんでいる。つまりは、日本政府が「国民を守る」という国民国家の基本的な機能を放棄しているという話だ。緊縮財政とは、まさしく政府の責任放棄そのものだ。