郵便事業頭打ちで迷走する日本郵政の不動産会社設立の不安 (2/2ページ)

週刊実話

それらの土地をフルに利用して、新たな収益を生み出そうとしているのです」(不動産業関係者)

 具体的には、新会社は郵便局の合理化による合併で空いた土地や、老朽化した社宅の閉鎖、すでに閉鎖したかんぽの宿の遊休不動産を活用するという。
 例えば、今年4月からは、東京都板橋区の日本郵便の社宅跡地に、ベネッセホールディングスに運営を任せて保育所を運営する。

 しかし、不動産業で“がっぽり”と思惑どおりにいくのだろうか。
 不動産アナリストは、こう指摘する。
 「日本郵政の'17年3月期の赤字は、アジアの国際物流進出のため'15年に6200億円を投じた、オーストラリア物流会社トール・ホールディングスの実績が上がらず4003億円の損失を計上したことが響いた。つまり、もともと大した価値のない物流会社を打ち出の小づちと見誤った日本郵政の経営感覚に、周囲は首をかしげているのです。それは昨年、野村不動産ホールディングスの買収を検討し、結局は折り合いがつかず失敗に終わったことにもつながっている」

 民営化時に69カ所あった、かんぽの宿の54施設が赤字、さらには14カ所あった逓信病院がすべて赤字であったことからも、ずさんな経営体質が垣間見え、依然、その甘さが抜け切れていないのでは、という見方が、不安視の理由だ。
 「確かに野村不動産の場合、売上高は3期連続で5600億円台。中期的には成長傾向で、'17年は対前年比13.4%増の6460億円、純利益は440億円と絶好調。最近では『プラウド六本木』の2億円台分譲マンションが話題になった。強気の野村不動産にすれば、今は高値で売りたい。日本郵政はTOB(公開買い付け)を実施する方向で検討を進めていたが、買収が公になると野村の株価が暴騰、さらに双方の条件も折り合わなくなり破談となったのです」(経済誌記者)

 その日本郵政が、これらの失敗を教訓に、今度は「ならば自前の不動産業」となって、そう簡単に利益を上げられるかどうか。
 「郵便事業は、過疎地や限界集落などへの配達など、強い公共性も求められる。そのユニバーサルサービスの維持と収益強化を一つのグループ企業内で同時に抱え、成長し続けるには、単に利潤だけを求める民間企業よりも舵取りが難しい。それだけに日本郵政は、単に不動産事業だけではなく、それを応用した、もうワンステップ上の新経営戦略が強く求められているのではないでしょうか」(前出・経営アナリスト)

 いずれにせよ、新事業の運転ぶりに注目だ。

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