世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第270回 新幹線の夢 (2/3ページ)
そのためには、国民が「つながる」ナショナリズム(国民意識)が欠かせない。
もっとも、こと経済成長のみを考えると、人口は密集していた方がよい。特定地域の人口が多ければ多いほど、サービス業が興隆する。
経済成長のためには、人口集中が望ましい。防災面からは、国民は分散して暮らさなければならない。人口の集中と分散。2つを両立させることはできるだろうか。できるのだ。新幹線ネットワークによって。
新幹線ネットワークを構築することにより、日本国民は集中と分散を同時達成できる。厳密には、新幹線で地域同士が短時間に結ばれることにより、離れて暮らしているにも関わらず、互いを「市場」と化し、経済成長ができるのだ。
'15年3月14日、北陸新幹線が金沢まで開通した。北陸新幹線が金沢など、沿線の地域に与えた影響はすさまじい限りだった。日本政策投資銀行の試算によると、北陸新幹線延伸が金沢に与える影響は、経済効果が125憶円、訪問客数32万人の増加と見込まれていた。ところが、現実には経済効果が678憶円、訪問客数は何と258万人も増えた。
なぜ、北陸新幹線が金沢にあそこまでのポジティブな影響を与えたのか。簡単である。新幹線で「東京駅」と乗り換えなしの最短2時間半で結ばれたためだ。東京駅を中心とする「東京圏」は、人口3700万人を誇る、地球上で最大のメガロポリスである。人口規模で世界最大の市場に、北陸新幹線延伸により、金沢のサービス業の「商圏」が届いたのである。
さて、「北海道新幹線」の札幌駅の位置が、ようやく決まったとの報道が流れた。北海道新幹線の札幌延伸は、'30年度開業予定で、ルートは新函館北斗から長万部、倶知安、小樽を経て札幌に至る北回りだ。室蘭、苫小牧経由の南回りルートも「基本計画」はあるが、整備計画化されていない。理由は、有珠山があるため、噴火の状況が懸念されているためだ。
とはいえ、札幌-千歳間、あるいは札幌-千歳-苫小牧間であれば、有珠山は関係ない。特に新千歳空港まで北海道新幹線が延伸されると、効果は大きい。現状、北海道の玄関口である新千歳空港駅から札幌駅まで、列車で50分強はかかってしまう。札幌と千歳間は距離が約40キロメートルであるため、新幹線が開通すれば15分(!)程度に短縮される。