アウトローも変心させた「仏教の名言」(5)批判を受けたら… (2/3ページ)

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受け取るな(蓮如)

 室町時代に浄土真宗の本願寺を再興した浄土真宗中興の祖と言われる蓮如が書いた「御文章(ごぶんしょう)」の中に記された釈迦のエピソード。釈迦が弟子たちと托鉢していると町の人々から、何もしないで布施をもらって生きていると非難されるが、その非難の言葉を毒蛇にたとえた。悪口を受け取らなければ、その毒蛇は言った者が持ち帰らなくてはならない。悪口に惑わされず我が道を行けと説いたものだという。会社や地域の中でいろいろ言われても、自分が正しいと思うところを進んでいく勇気が湧いてくる。

 石は玉を含む故に砕かれ、鹿は皮・肉の故に殺され、魚はあじわいある故にとらる(日蓮)

 鎌倉時代、仏教の革新を進めたゆえに数々の弾圧・迫害を受けた日蓮宗の開祖・日蓮ならではの言葉である。出る杭は打たれるというが、そうした批判や弾圧に屈せず信念を貫くことを説いている。この言葉に続いて「女人はみめかたちよければ必ずねたまれる」ともある。

 昨日は富みて、今日貧し(源信)

 平安中期に優れた学才をもって「往生要集」を選集するなど、浄土教の礎を築いた源信の名句。

 向谷氏はこう読む。

「うまくいかないのが人生。都合よくいかないからといって悩むことはない」

 そう悟ればどんな窮地に立たされても肝が据わり、思い煩うこともないのだと説いているのだ。

 人の身も応ぜざる荷物を持てば、身の船を覆すべし(沢庵)

 分不相応な荷物を持ったら、命の船まで転覆してしまうということ。沢庵は江戸前期の臨済宗の僧で、幕府の政策を批判して出羽(山形県)に流罪になるなど、反骨の人だった。過労死や働き方の改革が叫ばれる昨今、考えさせられる一句ではないだろうか。

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