【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第7話 (1/6ページ)

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【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第7話

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【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第6話

文政七年 春(2)

「いやあ、韋駄天みてえに走ったぜ」

桐紋を白く抜いた花色のれんを分けて、国芳は笑った。

図:吉原遊廓の裏茶屋 出典元・「郭の花笠」

吉原の五丁町(ごちょうまち)を駆け抜けたせいか、汗が吹いて止まらない。三和土(たたき)の土間で框(かまち)に腰掛け足を洗い、額の汗を拭って少し熱を冷ましてから二階の奥の部屋に上がった。

相変わらず風流な青竹の連子窓からは、ようよう登り始めた朝陽が薄っすら差し込み、床に光の放射線を描き出していた。

二人差し向かって座ると、

「おみつ。・・・・・・」

国芳は袂を探り、いきなり何かを差し出した。

「はいこれ、」

「なあに」

「たんぽぽ。・・・・・・」

「あっ、かわいい」

差し出された愛らしい花を見て、みつは思わず相好を崩した。

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