サブカル蛇おじさんの新刊「AKB48とニッポンのロック」よんでみた:ロマン優光連載111 (4/9ページ)

ブッチNEWS

の密着ドキュメンタリーが放送されなくなり出番が減っていったのは4期メンバーオーディション以降であり、それが2000年4月。『ASAYAN』という番組が無くなるのが2002年3月。一方『ハロー! モーニング』が始まるのが2000年4月。『MUSIX』が始まるのも同年12月。『モー。たいへんでした』が2001年。『うたばん』にセミレギュラー化するのも2001年以降であり、長期に渡ってセミレギュラーポジションにあった。『ASAYAN 』降板(?)以降、テレビにでなくなったという事実はないし、2004年くらいまでは逆にテレビの露出度は上がっていったというのが客観的な事実だろう。その後、全盛期より露出は減っているもののモーニング娘。はテレビにで続けているグループであることは間違いない。
 運動会で糊口をしのいだと言われても、あれが始まったのはテレビ露出の全盛期のころであり、顔見せ興行、ファン感謝祭的な要因が強いと考えるのが自然ではないだろうか。ツアーのたぐいも確かに高いが、それで糊口をしのぐような性質のものではない。接触イベントが増えたのは『ASAYAN』が終了して10年ぐらい経過してからではないだろうか。
 客観的な事実の誤認。時間軸の混乱。なぜ、著者はこのようなあり得ないミスをしたのであろうか。アップフロント・エージェンシーがニューミュージック系の事務所・ヤングジャパンの系譜を継いでいること。フォーク、ニューミュージックのアーティストの多くがテレビの歌番組に出演せずに活動をしていたこと。AKB48はテレビに出ないアイドルとしてはじまったこと。ここから推理すると、かつて「テレビに出ないアーティスト」が多く所属していた事務所の系譜に属するアップフロントに所属しているモーニング娘。を初期AKB48のような 「テレビに出ないアイドル」の系譜に並べたいという願望が先走ってしまい、こういうことが起こってしまったのではないだろうか。

 宍戸留美と桃井はるこというアイドル活動の年代や出自や活動に明らかな違いがある二人を「声優をしている」という一点で新世代アイドルとして括るのはあまりに乱暴である(324p)。インディーズ・アイドルの系譜について語りたかったのだろうとも思われるが、あまりに乱暴で何を語りたいのかよくわからない。

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