サブカル蛇おじさんの新刊「AKB48とニッポンのロック」よんでみた:ロマン優光連載111 (7/9ページ)

ブッチNEWS

ももいろクローバーの躍進を語るのに、AKBの有料動画配信とももクロの無料のUstream配信を対比しないのはどうだろう。ロックとアイドルの境目が消えたという項目で取り上げられるのが著者お気に入りの3776だけで、BiSやwack系のアイドルについて触れないのはさすがにどうだろう。パンクモチーフの地下アイドルというのは偶想ドロップなど何組かは存在してきたが、著者の認識ほど一般的ではないのではないか(そもそも著者はパンクに対してほとんど知識がない)。書き出すとキリがないのでやめるが、興味がないであろう対象に対する知識及び扱いは本当に雑である。
 しかし、著者があからさまに他の項目より力が入っているNMB48、そのなかでも特に気に入ってるであろう須藤凛々花や木下百花に対する記述が懇切丁寧というわけではない。須藤に関しては哲学、高偏差値、早瀬優香子を地で行くという、著者のツボにはまったポイントの話はするが、彼女のアイデンティティーの中で重要な部分を占めていると思われる、Jラップのヘビーなリスナーである側面には全く触れない。(木下百花は)「サブカルチャーの造詣が深く、好きな音楽は日本のパンクバンド、 JOJO広重率いる非常階段、日本のラップと語る」(562pより引用)と記しているが、木下自身が語る好きなバンドは高円寺百景、ゆらゆら帝国、マキシマムザホルモン、ナンバーガールといったところが多く、確かにスターリンやINUも好きだと思うが、いわゆるパンクバンドでないバンドが多く、日本のパンクバンドというのは雑すぎる。「JOJO広重率いる非常階段」という表現も適当で「ベテランノイズバンド・非常階段」とかならわかるが、バンドがどういうバンドか全然伝わらないし、広重氏が率いてるといったバンドでもないと思うのだが。日本のラップという表現も雑だろう。もし、彼女自身がこのような表現をどこかで使っていたことがあったとしても、引用ではなく著者が情報として第三者に伝えたいのなら、より明確な表現をすべきではないか。また、木下とサブカルチャーといえば、吉田豪とのトークイベントを開催したという部分は意味合い的に特筆すべきなのではないかと思うのだが、全然触れていない。

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