サブカル蛇おじさんの新刊「AKB48とニッポンのロック」よんでみた:ロマン優光連載111 (5/9ページ)

ブッチNEWS

アイドル以降、職業声優として活動していた宍戸と、多岐に渡る「ももーい活動」の一つとして声優もやってきたアキバカルチャーの推進者である桃井ではスタンスが違いすぎはしないだろうか。さらにそこから、アニメとアイドルのファンは別だったが、国際的なアニメブームによって秋葉原を中心にアイドルという存在が再び息を吹き返したという説に繋げられても理解に苦しむ。論旨が繋がってないのだ。二次元オタクの街・秋葉原。AKB発祥の地としての秋葉原。フリーランス・アイドルをやっていた宍戸。アキバカルチャーの申し子でDIY要素の強い活動をしてきた桃井。最近のアイドルブーム。それらの情報を強引に結びつけた結果ではないかと推測される。国際的なアニメブームによって三次元のアイドルの復権がなされたというのは全く謎の主張である。
 このように、個々の資料は持っていても適切に扱えない結果、間違えた事実を導きだしたり、意味不明の結論を導きだしたりしている部分が他にも存在する。それらについては、ある程度以上の知識を私が対象に対してもっているため指摘できるのだが、自分の知識が足りないため明確に指摘できない部分でも奇妙に感じる箇所が何ヵ所もあり、その対象に詳しい人が見れば一目瞭然なのではないかと推測される。また、知識が足りないため一見正しい記述に見えるところも、原典にあたってみると間違っている可能性もある。資料の取り扱いについては色々と疑問が残る。

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 単なる間違いも多い。324pに秋葉原ディアステージ、AKIBAカルチャーズZONEを新しい催事スペースとし、かつての池袋サンシャインシティの噴水広場に代わる、アイドルイベントのメッカとなったとする記述がある。ディアステはメイド喫茶の進化系的な店舗であり、 AKIBAカルチャーズZONEは単なるビル名であるのでAKIBAカルチャーズ劇場のことを言いたいのだと思うが、どちらも催事スペースではない。アイドルイベントにおけるサンシャインシティの噴水広場の意味合いは現在においても変わっているとは考えられず、それに変わる催事スペースが存在するとも思えない。カルチャーズ劇場とAKB劇場を対比して論ずるなら理解できるが、それ以前に事実を把握できてない。

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