世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第276回 米朝首脳会談の衝撃 (3/3ページ)

週刊実話


 それにしても、査察の実施すら共同声明に盛り込まれないとは驚くほかない。トランプ大統領は、北朝鮮の「核保有路線」に完全にはまったのである。非核化も、拉致問題も、何ら具体的な話はなく、北朝鮮側が体制保障を取り付けた。北朝鮮の時間稼ぎ戦法の勝利である。

 北朝鮮はミサイルのエンジン試験場の解体を表明しているが、弾道弾ミサイルはそのまま配備されている。試験場を今さら解体したところで、大勢に影響があるわけではない。
 「核ミサイルを配備し、アメリカと対等に(体制保障の)交渉をする」
 という金日成から続いている戦略が、そのまま継続されていると理解するべきだ。

 さらに、北朝鮮の2つ目の戦略、
 「韓国に親北朝鮮政権を打ち立て、最終的に連邦国家を目指す」
 との項目も着々と進行中だ。韓国の文在寅大統領は、米朝首脳会談の結果を称賛。「在韓米軍の撤収」までもが話題になったにも関わらず、危機感はゼロ。韓国では、早くも開城工業団地の再稼働への期待も起きている。対北経済制裁を韓国自ら破りそうな勢いだ。

 今回の米朝首脳会談を受け、国内マスコミはまるで明日にでも北朝鮮が核を放棄するような論調であるが、実際には核問題は解決には向かわず、拉致問題も進展せず(「言及」はされたが)、
 「アメリカによる、北朝鮮の核保有国認定」
 「南北朝鮮の連邦制による核保有国誕生」
 という、日本にとって「悪夢のシナリオ」にまた一歩近付いたのは確実だ。

 結局のところ、「日本の問題は、日本国民が解決する」という意識を持たない限り、わが国は周辺諸国に振り回され、安全保障がひたすら弱体化していく現実は変わらないのである。

みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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