【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第15話 (4/4ページ)
(花魁は芳さんに思いっきり、惚れていやがる。・・・・・・)
幸せになってほしい。
はじめて、そんな事を思った女だった。
ずっと、死んだ姉に似ているからだと思っていた。
しかし、今この胸の中にくすぶるものは、既にそれとは違う。
(妬ける)・・・・・・
佐吉はようやく、自分の本当の思いに気が付いた。
(俺ア花魁に、)
いや、と佐吉は思考を止めた。
芽吹いた密かな思いは根っこが生える前に、隅田の大川に向かって投げ捨てッちまおう。
・・・・・・
「さあて、行こう芳さん」
「おう。こっから家までなら、わっちゃア負けねえ!」
今度は国芳が先に下駄を帯に差し、尻をからげて走り出した。
「こんちきしょう!それアねえや」
佐吉は慌てて、後を追いかけた。
歌川芳虎「東都名所八景之内 両国橋秋月」国会図書館蔵
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