【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第15話 (1/4ページ)
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【小説】国芳になる日まで 〜吉原花魁と歌川国芳の恋〜第14話 ■文政七年 夏と、秋(7)国芳「東都名所 新吉原」ボストン美術館蔵
吉原遊廓からの帰り道を、佐吉と国芳は肩を並べて訥々と歩いた。
「ありがとうよ、佐吉」
五尺八寸のすらりとした佐吉を国芳は見上げて礼を述べた。
「俺ア別に、何もしちゃいねえよ。てめえで渡しゃ良かったのに俺が渡しちまって本当に良かったのか、芳さん」
「・・・・・・いいんでイ」
今はまだ、会えそうにない。
みつのあの、嬉しそうな声音だけで充分であった。