文明を知らない民と彼らを待ち続ける男の物語はどう生まれたか 話題のノンフィクション『ノモレ』について聞く(上) (1/4ページ)
絶賛をもって迎えられている一冊のノンフィクションがある。『ノモレ』(新潮社刊)だ。
本書は2016年8月に放送されたNHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」第四集「最後のイゾラド 森の果て 未知の人々」の取材から生まれた一冊。
著者の国分拓氏はNHKのディレクターとして「隔絶された人々 イゾラド」をはじめ、様々な番組を担当し、ブラジルで原初の暮らしを営む先住民とともに暮らした記録をつづった『ヤノマミ』(NHK出版刊、その後新潮文庫刊)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。
この『ノモレ』、序文から読者は圧倒されるだろう。文明を知らない民・イゾラドと文明社会の間を切り裂くように流れる川がシンボリックに存在し、その間を行き来するペルー・アマゾンの村長であるロメウの姿を文学的な筆致で描写している。
現れたイゾラドは、曾祖父たちから伝えられていた「100年前に生き別れた仲間たち(ノモレ)」の子孫なのか? ロメウは彼らとの交流を根気強く行う。語り継がれる「息子たちよ、友(ノモレ)を探してくれ」という言葉を抱きながら、彼らを待ち続けたのだ。
本書を著した国分氏は、ロメウの姿に何を感じたのだろうか。インタビューを行った。
(聞き手・文:金井元貴)
■先住民たちが大事にしてきた言葉、「ノモレ」 ――『ノモレ』は非常に文学的で、ノンフィクションとは一線を画す印象を受けました。この書き方をされた意図を教えていただけますか?国分:意図というほど戦略めいたものがあったわけではないです。ただ、うまく表現できないのですが、自分の中に「こういうことを書きたい」というゴールがあって、素材を作り得る一番の高みにもっていくために色々なことを試したんですね。
この『ノモレ』で言えば、試行錯誤の結果、こういう風にしないと書きたいことが書けないという結論が出たんです。いろいろやってみて、ベクトルはこっちだなと。こういうやり方は活字だけではなく、テレビも一緒です。