山中慎介×板垣恵介「10年に1度の無慈悲なKOはすごかった」最強“漢”対談 (2/6ページ)
『グラップラー刃牙』から読んでいたので、その作者の方と食事できるのは、すごいことですよ。
板垣 俺もね、山中選手と会ってみたかったから。だってビック・ダルチニアンと闘ったときは判定勝ちだったけど、最後まで倒しに行きたがっていたっていうじゃない。なんてハートの強い選手だって思ってさ。
山中 そこで倒せなかった後悔は、その後の試合に生きましたね。ツニャカオ(マルコム・ツニャカオ フィリピンのプロボクサー。元WBC世界フライ級王者でWBC世界バンタム級1位。山中選手は13年4月8日に対戦し、12回TKO勝ちで3度目の防衛に成功する)の試合でも、あの経験があったからこそ、KOできたんです。
■結婚して子どもが生まれ、男として強くなれた
板垣 輪島(功一)選手も同じシチュエーションで行かなかったのを、ずっと後悔しているって話をしてくれたことがある。そういう選手は強くなる。やっぱり、みんなが見たいのは、勝者じゃなく勇者なんだ。そういう意味では山中選手は勇者なんだよ。そうそう、もう一つ、山中選手の強さを思い知った話がある。奥さんの沙也乃さんに聞いたんだけど、山中選手は試合に行くときでも、ジムに行くときでも、(テンションが)ぜんっぜん変わらないですよって言ってたの。
山中 普通、ボクサーって、試合前はけっこうピリピリしますからね。
板垣 そうだよ。減量するとピリピリするのは、半ば常識じゃない。具志堅(用高)さんも現役だった頃、試合前の減量中に、行きつけの喫茶店で1杯の水だかコーラだかを鬼気迫る顔でジーッと見てたって。具志堅さんですらそうなのに、変わらないってすごいよ。
山中 僕は結婚して子どもが生まれて、男として強くなれた部分もありますね。ボクシングを仕事と思えるようになったんです。家族を食べていけるようにしないといけない。それは僕の結果にかかっているわけですから。
板垣 太平洋戦争のときにね、若くて体力のあった若い男のほうがバタバタ死んで、生き残ったのは既婚者だったって聞いてる。俺も漫画家デビューが32歳で遅かったけど、家族がいて、絶対に潰れられないから、当たり前に頑張ったし、当たり前に頑張れた。