世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第294回 パラダイム・シフト (3/3ページ)
結果的に、“カネを返せなくなった国が属国化しても、それは自己責任である”という話には、もちろんならない。要するに、グローバリズムの思想には「国家」という概念が欠けているのだ。
国家主導で「一方向的な」グローバリズムを推進し、モノ、ヒト、カネを送り込み、アメリカ政府の言う「資本的関係」を弱点として利用し、軍事権益を獲得していくなどという国の存在は、グローバリズムの教義の想定外なのだ。
すなわち、グローバリズムは中国のような国が出てこないことを前提とした、「平和な時代」の贅沢品にすぎないことが理解できる。本来、グローバリズムは「覇権国」が絶大なパワーで各国にルールを守らせることなしでは成立しない。中国のような「アンフェアなグローバリズム」を許してはならないのだ。
ところが、過去20年間、中国はアメリカの「政治」を巧みに活用し、アンフェアなグローバリズムを継続し、国力を増強。ついに、アメリカの覇権に挑戦する段階にまで成長してしまった。
当然、現覇権国のアメリカは「それは許さない」と、対中強硬姿勢に転じ、諸外国を巻き込み、アンフェアなチャイナ・グローバリズムの破壊に乗り出した。つまりは、現在の米中抗争の肝は「覇権国と挑戦国」の関係であり、単なる貿易紛争ではない。これまでのチャイナ・グローバリズムを認めていた「パラダイム」がシフトしつつあるのである。
それにも関わらず、相変わらずわが国は「日中友好」「一帯一路はビジネスチャンス」などとやっている。日本の政界、財界、さらにはマスコミのあまりの「空気の読めなさすぎ」に、筆者は正直、恐怖している。
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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。