シュレーディンガーの猫ならぬシュレーディンガーの細菌が量子生物学の重要な一歩となるかもしれない(英研究) (5/7ページ)

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 ファローによれば、この発見は、自然界において量子効果が発揮されている事例のありかも指し示している。

 緑色硫黄細菌は光の届かない深海に潜む生物である。こうした環境であるからこそ、光合成を強化するために、量子力学的な進化適応が促された可能性があるのかもしれないのだそうだ。


・まだはっきりとした結論は出せない

 ただし、この主張にはいくつもの注意点がある。

 まず一番気をつけねばならないのは、もつれの証拠とされるものは状況証拠でしかなく、細菌を出入りする光の解釈の仕方に依存しているという点だ。マーレットらは、量子効果とは関係のない古典的モデルによって実験結果を説明できる可能性についても認めている。

 もちろん光子はちっとも古典的などではなく、まさに量子のものだ。しかし、より現実的であろう半古典的モデル(細菌にニュートンの法則、光子に量子を使ったモデル)では、件の実験結果が再現できない。

 また別の注意点として、細菌と光子のエネルギーが個々にではなく、集合的に計測されたということもある。通常、もつれを実証するためには、2つの系を独立して計測しなければならない。そうでなければ量子の相関関係は本物とは認められないのだ。

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pixabay

・量子生物学に光明

 こうした不確かな点はあるが、多くの専門家にとって、量子生物学が単なる理論上のものから具体的な現実になるかという疑問は、すでに「なるかどうか?」ではなく「いつか?」というものだ。

 生物系の外における分子については、個々にも集合的にも、量子効果が実験で証明されて数十年になる。ならば、それを細菌や人体の中で探し求めることは、十分理にかなっているように思える。
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