百田尚樹『日本国紀』よんでみた:ロマン優光連載122 (4/5ページ)

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一番不可思議なのは、百田氏が記述していた、マネージャーが発言したとされる未亡人に向けられた悪質な発言に関するもので、その発言を聞いたと証言するものは誰もいないようだ。その発言を向けられたとされる未亡人すら知らないらしい。となると、あれは百田氏がウケを狙って創作したものなのであろうか? 謎だ。
 それはともかく『日本国紀』も、その内容が事実と呼ぶに値するか、さらなる検証を受けていくのも間違いないだろう。まあ、あの本を買う人は百田さんファンや安倍さんファン仲間として百田さんを応援している人なわけで、内容の如何ではなく、グッズとして購入しているわけであるから、どんなに検証されようが百田さんは困らないかもしれませんが。……腹は立てるだろうけど。

 随所に挿入されるコラムという名の薄いウンチクコーナー。知識の薄さ、曖昧さもそうですが、柔術についてのコラムの最後にテコンドーは琉球空手のパクりみたいな余計な話を唐突にしたがるのが百田さんだなって感じですな……。

 あと、鎌倉~室町期においては狂暴そのものだった日本人が現在のようになったのは徳川政権期の儒教教育のたまものなわけであり、日本人の精神に対する影響は大きいのですが、ほぼ儒教について触れておらず、そこも百田さんらしいですね。
 それを含めて、ディス・イズ・百田尚樹といった感のある百田氏の集大成みたいな作品であるのは間違いなく、今まで百田氏の作品を読んできた中で最も疲労感を残す作品であった。はやく、忘れたい。

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