田中角栄「名勝負物語」 第二番 福田赳夫(9) (1/3ページ)

週刊実話

 「角福戦争」“第2ラウンド”。

 「三木おろし」では手を組んだ「角福」だったが、三木武夫の後継として首相のイスにすわった福田赳夫が、「2年後に大平正芳に“禅譲”」との約束を反故にしたことにより、大平は田中角栄と連合を組み、総裁選での勝負に出た。結果、当初の「福田有利」の下馬評をくつがえしての逆転勝利で大平が政権に就いた。このときの総裁選で田中は、これ以上、福田政権が続くことは、ロッキード事件での逮捕もあり、自ら汚辱を晴らしての「復権」を目指すためには好ましくないと、全精力を傾注して大平勝利に邁進したものだった。

 このときから、さかのぼること4年前の「角福総裁選」で、強力な支援体制を取った田中派の「秘書軍団」も再び総動員され、大平1位に尽力したのである。その際の「秘書軍団」の“火の玉”ぶりを示すエピソードが残っている。

 「私は自分が住んでいることから、練馬区担当になった。ところが、練馬区というのは意外と広い。地図を見ながら一軒一軒あいさつに回るのだが、いざ訪ねると田んぼの真ん中だったりして、一軒回るのに1時間以上費やしたのはザラだった。電話での依頼は福田陣営などもやっていたが、実際にこうして足を運んでお願いしたのはわれわれだけのようだった。『わざわざ現職の国会議員の秘書が訪ねてくれた』と、大平支持にクラ替えしてくれた党員もずいぶん多かった」(羽田孜秘書・山崎貴示)

 「予備選挙の運動期間中、靴を3足はきつぶした秘書もいた。なかには、『福田や中曽根を支持する党員の家には入り込むつもりでやれ』という檄に乗って、ホントに中曽根さんの家まで行ってしまった“森の石松”みたいな秘書もいたのです」(当時を取材した政治部記者)

 結果、この予備選挙では、他に中曽根康弘、河本敏夫も立候補したものの、事実上、大平・福田の一騎打ちとなり、大平が東京など大都市で票を伸ばして1位で勝ち上がった。

 戦前予想では「有利」だっただけに福田陣営のショックは大きかったが、福田自身は恬淡とした性格から敗北の弁をこう述べたものである。

 「天の声にも変な声もある。

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