〈企業・経済深層レポート〉 大手3社が最終赤字 スーツ離れに悩む紳士服業界の戦略 (2/2ページ)
「大手紳士服メーカーでは既製品スーツの売り上げが激減していますが、オーダーメードのスーツは需要がありました。ところが、ECアパレル企業のZOZOが、採寸用ボディースーツの“ゾゾスーツ”を無料配布することで、オーダーメードスーツに殴り込みをかけてきた。当初、1000万着を配布予定で、最終的に300万着に落ち着きましたが、この画期的採寸システムでスーツをオーダーした人は膨大な数に上ります。すでに若い層では、従来の『大手紳士服チェーンでは買ったことがない』という人が現れるほど、業界を侵食しています」(前出・アパレル関係者)
アパレル大手のオンワードグループは、オーダーメードの新ブランド『カシヤマ・ザ・スマートテーラー』(以下、テーラー)の展開を始める。伊藤忠商事は全国のテーラーと提携し、高級オーダーメードスーツ事業に参入した。さらにイオンやイトーヨーカ堂、ユニクロのファーストリテイリングは、低価格スーツ販売に積極的に動き出し、大手紳士服量販店を苦しめる。
大手3社は、この逆風にどう立ち向かうのか。
「家で洗えるスーツやスポーツメーカーとのコラボなど、新製品でなんとかサバイバル戦をしのいでいます。また、スーツ以外の事業を拡大し、生き残りを図ろうと躍起ですね」(業界アナリスト)
例えば、青山商事は駅ナカを中心に靴修理店『ミスターミニット』を展開している。さらにカード事業にも力を入れていて、2018年4〜9月期のカード事業の売上高は、前年同期比18・3%増の11億円。紳士服事業の赤字をフォローする形だ。
AOKIは2003年に始めた漫画喫茶『快活CLUB』が好調だ。2018年9月末時点で全国に359店と、順調に店舗数を増やしている。青山商事と同様に、この漫画喫茶事業の業績は2018年3月期の売上高が前期比12・8%増の341億円、営業利益は9.4%増で20億円の黒字となり、紳士服事業の赤字を補っている。
コナカは、とんかつ店『かつや』や、からあげ専門店『からやま』など、フード事業にも力を入れ、外食業界からはライバル視されているほど有力事業へと成長している。
もはや本業がお荷物になっている紳士服業界は、今後も異業種でのサバイバル戦を挑んでいくのだろうか。10年後、大手紳士服企業がどんな姿を見せているのか、誰にも予想がつかない。