フランスの少年が聖書とコーランをDNA情報に変換し自らに移植。文字から起した高分子を人体に注入した初の試み
フランスのある少年が、ヘブライ語の「創世記」とアラビア語の「コーラン」をDNA情報に変換し、自らの体内に移植したという。
創世記はキリスト教、ユダヤ教の聖典で、イスラム教の啓典である聖書(旧約聖書)の正典の一つ。そしてコーランは言わずと知れたイスラム教の聖典である。
フランス、グルノーブルの高校生のアドリアン・ロカテッリの投稿によると、「文字から起した高分子を人体に注入した初の試み」なのだそうだ。
・専門家向け業者からカスタムDNAとそれを運ぶベクターを入手
「自分で用意したのは生理食塩水と注射器だけだ。あとはベクタービルダー社とプロテオジェニックス社がブツを揃えてくれた。」とロカテッリ氏。
ベクタービルダー社(VectorBuilder)は、DNA鎖を細胞の中に運び込み、遺伝子を編集するウイルスを作成している。またプロテオジェニックス社(ProteoGenix)は、カスタムDNA鎖を合成する企業だ。
両社とも科学者向けの企業であるが、一般人でもその製品を購入することができる。

・聖書とコーランの文字情報をヌクレオチドに変換
DNAとは情報を保存するただの長い分子にすぎない。基本的には生命が活動するために必要な情報を保存するが、書けるものなら一応どんな情報でも保存することができる。
ロカテッリ氏が聖書とコーランをDNA情報に変換した手法はかなりシンプルなもので、少々大雑把とすら言えるかもしれない。
DNAはA、G、T、Cという4種のヌクレオチドの羅列によって情報をコード化している。そこでロカテッリ氏は、1つのヌクレオチドにヘブライ語やアラビア語の各文字を対応させた。
各ヌクレオチドが複数の文字を担うことになるので、たとえばヘブライ文字のアレフ、ヴァヴ、ユッド、ヌンはすべてGで表され、ダレット、クフ、アイン、レーシュのいずれもがTで表されるといった具合になる。

・宗教と科学の調和の象徴
ロカテッリはこれを冴えたアイデアだと胸を張る。
「この実験は宗教と科学との調和の象徴として行った。信仰を持つ者にとって、経典を自分の体に移植するというのは好ましいことだと思う。」とロカテッリ。
なお、この実験後、注射をした左腿が数日ほど軽く腫れはしたが、大きく体調を崩したりはしなかったようだ。
これについては、生化学を専門とするカリフォルニア大学ロサンゼルス校のシュリラーム・コスリ教授の説明とも一致する。
「アレルギー反応が起きるかもしれない以外は、どうということもないだろう。注射の方法を考えると、rAAV(リコンビナントアデノ随伴ウイルス)ベクターが本当のウイルスになるのかどうかはよく分からない。彼が使ったベクターやその方法について情報がないので、何とも言えないというのが正直なところだ。」(コスリ教授)
References:OSF Preprints | The first injection in a human being of macromolecules whose primary structure was developed from a religious text / 'Peace between science and religion': Why teen biohacker injected 'scriptural' DNA into his body/ written by hiroching / edited by parumo