社会的な疎外感がテロリズムを生む。それは脳を見れば分かる(英研究) (1/3ページ)
世界で繰り広げられているテロとの戦いには終わりが見えない。
だが一つ言えるのは、人をテロリズムに走らせる理由を理解しなければ、効果的な対策は立てようもないということだ。
最近行われたテロ組織からの勧誘に弱い人の脳をスキャンした結果によると、現在行われているテロ対策は、むしろ状況を悪化させるだけかもしれないという。
テロリストは信仰心や政治的信条のために戦っていると主張する。だが社会学者は、人をそうした過激な手段へと走らせるのは、熱意ではなく、悲哀なのだと論じてきた。
社会的な疎外感がテロリズムを生み出しているという。
・個人がテロに傾倒するのは社会的疎外感から
これを実証するために、イギリス・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者らが、テロに走りやすい人の脳をfMRIで検査してみた。
『Frontiers in Psychology』に掲載された発見は、個人がテロに傾倒する理由は社会から受ける疎外感にあるという説を裏付けている。
・バルセロナに住むモロッコ系の人の脳をスキャン
研究チームは、若いモロッコ系バルセロナ市民535名を対象に、イスラム教の教義を広めるために暴力を使うことについてどのように感じているか訊いてみた。
スペイン・カタルーニャ州の州都、バルセロナが選ばれたのは、ヨーロッパのほかの場所に比べて、モロッコ系の人があまり溶け込んでいないからで、本調査の最中もテロ事件が生じていた。
この質問でテロ組織からの誘いに乗りやすいと評価された人38名に、同意を得たうえでその脳の脳波測定を実施することにした。
脳波測定に先立って、社会的排斥を調べる際によく利用される「サイバーボール課題」というキャッチボールのようなテレビゲームを彼らにプレイしてもらった。