村田兆治「ダルビッシュ有や大谷翔平も受けたトミー・ジョン手術の先駆け」昭和男の魂インタビュー (5/5ページ)

日刊大衆

〈村田〉 俺がスピードにこだわり続けたのには理由がある。現役を引退してから、俺は日本の離島を回って、ボランティアで野球教室をやってきた。この教室で子どもたちにホンモノのプロ野球選手のすごさを見せたかったんだよ。

 言葉や理屈で説明するよりも、肌で「速さ」を感じてほしい。それが野球の素晴らしさを伝えることにもつながる。打席に立った子どもに、俺が手抜きなしで渾身の快速球を投げ込むことが、教える側のマナーだと思ったんだ。だから、体調管理にも気を遣ってきた。さすがに今は140キロも出ないけどね(笑)。でも、全力投球を見せることは変わっていない。おかげで、離島間の交流や、人材育成を目的とした中学生球児の野球大会「離島甲子園」もスタートし、もう10年以上になる。

 俺が子どもたちに教えてきたのは野球だけじゃない。そりゃあ、離島は野球の環境としては恵まれていないよ。でも、卑屈になる必要はないし、本気でやっていれば、必ずいいことがあるということを伝えたかった。加えて、俺が教えたのは礼儀とあいさつと感謝の心。この3つが備わっていれば、社会人となり、どんな分野に行ってもやっていけるはずだから。そんな若者に育ってほしいと思って、今も離島を回っている。

――今年、村田氏は古希を迎えるが、野球への情熱は現役時代と変わらない。そんな球界のレジェンドは、本誌読者にもエールを送る。

〈村田〉 小学4年のとき、なぜか自分の意志でノートに「努力」「忍耐」「根性」「知識」「知恵」「体力」という言葉を延々と書き続けたことがあったんだ。これが、いつの間にか頭にインプットされたのかな。プロ入り後も、この6つを実践するのが当たり前だと思って生きてきた。たとえば、知恵。自分にとって何が大切かを分析し、取捨選択することだよ。その能力がないとプロでは大成しない。その意味では最近、ネットなんかで、匿名で人を誹謗中傷したりすることに、俺は知恵や知識のかけらも感じない。罵詈雑言の先に未来や希望はないよ。そんなことをするヒマがあるんだったら、もっと本を読みなさいと言いたい。

 それと、年を取って思うのは体力の重要性かな。俺も以前のように腹筋500回なんて、もうしない。でも、体をほぐし、柔らかくするトレーニングはしている。体が硬くなると、頭や心も硬くなる。逆に体が柔らかければ発想が柔軟になり、周りの状況がよく見えるようになるもんだよ(笑)。

――村田氏の老いても前向きな生き方を見習いたい。

むらたちょうじ:1949年、広島生まれ。マサカリ投法から繰り出される剛速球と落差の激しいフォークボールを武器に、215勝を挙げた球史に残る豪腕投手。

「村田兆治「ダルビッシュ有や大谷翔平も受けたトミー・ジョン手術の先駆け」昭和男の魂インタビュー」のページです。デイリーニュースオンラインは、大谷翔平桑田真澄藤川球児手術松坂大輔エンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る