藤田田と三人の男 太宰治、山崎晃嗣、カルロス・ゴーン、それぞれの躓き (1/7ページ)

心に残る家族葬

藤田田と三人の男 太宰治、山崎晃嗣、カルロス・ゴーン、それぞれの躓き

人が生きている限り、決して避けられないことのひとつが、「自分以外の誰かの死に遭遇すること」だ。それは自分の祖父母、両親、兄弟姉妹、配偶者、親戚などの身内、近所の人、学校のクラスメートや職場の仲間、或いはテレビや映画などで活躍する芸能人や著名人…そうした中には時に、不慮の事故、急な病気、更には自ら命を絶ってしまった人々もいるかもしれない。

■藤田田が体験した、ある二人と交わした自殺直前の会話とは

2018(平成30)年の日本における自殺者は警察庁によると、総数20598人。その内訳は、男14125人、女6473人となっている。特に東京都は2248人と、決して少ない数ではないため、電車に飛び込んでしまった人による「人身事故による遅延」に遭遇したことがある人を含めると、誰かしらの自殺に対峙することになった人も多いと思われる。

しかし、若いうちに、時代を騒がせた人物が自殺する前に、偶然言葉を交わす機会があった。それも2人も…となると、かなりのレアケースだろう。そのような珍しい体験をした人物とは、日本にハンバーガーを根づかせた、大阪生まれのカリスマ経営者・藤田田(でん、1926〜2004)だ。

■一人目は太宰治

藤田が出くわした1人目は、作家の太宰治(1909〜1948)だ。戦争が終わった後、当時東京大学の学生でありつつも、ビジネスを模索していた藤田は、銀座の酒場でよく太宰に一緒になっていた。そこで藤田は年長で、しかも売れっ子の大作家のひとりだった太宰に向かって、「お前みたいな敗北主義の小説は嫌いだ。日本は戦争に負けたけど、これからは俺のような野武士みたいな人間が必要な時代なんだ」と言い放ったことがあるという。

そんな藤田だったが、太宰の死の前日、たまたま一緒に酒を飲んでいた。その時の太宰の様子から、藤田は後々、太宰の死は自殺じゃないと言い切っていた。

■二人目は山崎晃嗣

そしてもうひとりが、山崎晃嗣(あきつぐ、1923〜1949)。戦後初の金融事件「光クラブ事件」の首謀者であり、後に三島由紀夫の『青の時代』(1950年)や高木彬光の『白昼の死角』(1960年)などに描かれたセンセーショナルな人物だ。

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