野村克也「俺と巨人ONの真実」史上最高の名監督が激白 (4/5ページ)
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それまで見てきた日本選手の中でもトップと言えるくらい、スイングが鋭くて速かった。幸い、そのときには南海のエース・杉浦忠が絶好調で、球威も素晴らしかったから、長嶋にはそれほど打たれなかった。それでも、“普通のピッチャーだったら太刀打ちできない……”という強烈な印象は受けたね。
それ以降、日本シリーズやオープン戦、オールスターで対戦するたび、長嶋の攻略法を探した。でも、結局は見つからなかった。だって、何を考えているか分からないんだもん(笑)。「ここが弱い」とか「ここをよく打つ」とか、傾向が出てこない。同じコースでも抑えられたり、打たれたりするんだ。“ささやき戦術”もデータ分析も通用しなかった。長嶋は、ただ来た球を打っているだけ。たとえ体勢を崩したって、ヒットを打てちゃう。普通は体勢が崩れたら、当たったとしても、せいぜいバットの先とか根っこ。でも、長嶋は芯で捉えるんだから。本当に天才としか言いようがないね。
来た球を打つという点では王も同じだったけど、タイプは全然違う。王とは何度もバッティング談義をしたことがあるし、“次元が違う”とも思ったものだけど、長嶋とは一度もない。したって無駄なんだよね。何も考えていないんだから(笑)。
■ヤクルト監督時代、巨人の長嶋監督を口撃
――ボヤキでならす野村氏は、特にヤクルト監督時代、たびたび巨人の長嶋監督を厳しく“口撃”してきた。しかし、そんな野村氏は、自身の「歴代ベストナイン」に長嶋氏を選出。実は“野球人”として高く評価しているのだ。
野村 現役時代の長嶋は、まさに“真のプロフェッショナル”だったと思う。プロ野球は、日本中のファンがいるからこそ成り立つ、いわばサービス業。ファンが求めているのはひいきのチームの勝利だから、チームが一丸となって勝利を目指すのが大前提だけど、長嶋はファンに対して常に、それ以上のことを心掛けていた。
ある年のシーズンオフ、長嶋と日米野球で一緒にプレーしたんだ。今とは違って、当時の日米野球は20試合くらい組まれていて、長嶋はほぼフル出場することになっていた。