「孤立するロシア」はウソ? 日本人が知らないロシアの実態 (5/5ページ)

新刊JP

実際、安保・外交の世界では逸脱するようなことをしますが、経済については2000年に大統領に就任した時から本当にブレない。市場経済原理に基づいた自由貿易の信奉者であり、ロシアに外資を呼び込んで強いロシア経済をつくるんだということを一貫して言い続けているので、経済面では安心できるパートナーなんです。

だからビジネスはやりやすいと思いますね。ロシア側はウェルカムですし、ビジネスのしやすさを示す「ドゥーイング・ビジネス」のランキングを上げようと取り組んでいます。

――アメリカを中心とする西側のメディアは安全保障と外交にのみ注目してロシアを報道するため、ビジネス分野のロシアの取り組みには光が当たりにくい傾向があります。

加藤:「仮想敵国」といいますか、全員一致で攻撃できる対象があった方が安定するのかもしれませんね。

あまり知られていないのですが、2001年から2002年にかけてプーチンはロシアのNATO入りを真剣に考えていたと言われています。ただ、ロシアがどんなにラブコールを送っても、NATOがロシアを仮想敵国視するのをやめなかったわけです。

そうした土台がまずあって欧米に不信感を持っていたところに、グルジア、ウクライナのような旧ソ連の国土だった地域をロシアから遠ざけるような工作を西側がやっていることを諜報を通じて知ったり、あるいはロシアの友好国だったリビアを空爆して、カダフィが無残に殺害されたりといった一連の出来事が続いて、プーチンはどんどん不信感を募らせていったといういきさつがあります。

――NATOの拡大もプーチンの欧米への不信感に拍車をかけたとされています。

加藤:そうですね。冷戦が終わった時に「NATOを東欧には拡大させない」という暗黙の約束があったのですが、実際にはNATOはポーランドやハンガリーといった東欧に、つまりロシアに迫る形でどんどん拡大していったわけです。

その後NATOの東方拡大はEUの東方拡大に形を変えて、やはりポーランドやグルジア、ウクライナを加入させようとしました。これらの不満が一気に爆発してウクライナ編入につながったというのが日本の識者の一般的な見解です。

私も長い間ロシアを見ていますが、こうした経緯を踏まえると安全保障や外交面でのロシアの行動について一方的にロシアが悪いというのは無理があるように思います。
(後編につづく)

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