田中角栄「名勝負物語」 第五番 小沢一郎(5) (3/3ページ)
田中さん(角栄)が買っていたのも、そのあたりにあったのだと思う」
ここで出てくる小沢に対しての「原理原則」という言葉は、まさにその後の政治家・小沢一郎のキーワードとなっている。その厳しさは一貫し、その姿勢で良くも悪しくも政局へ一石を投げ続けることになる。
首相当時、田中角栄は田中派の若き期待の星として橋本龍太郎と小沢一郎を挙げ、次のような“短評”を与えていたものだ。
「橋本、何でもこなせる秀才だ。カミソリの切れ味がある。一方の小沢、こちらは派手さはないが、ドスンと切り落とすナタの魅力がある」
その小沢が一気に政界の表舞台に踊り出るのは、昭和60年2月、田中が病に倒れてからとなるのである。
(文中敬称略/この項つづく)
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小林吉弥(こばやしきちや)
早大卒。永田町取材49年のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『愛蔵版 角栄一代』(セブン&アイ出版)、『高度経済成長に挑んだ男たち』(ビジネス社)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。