日本最古の老婆心?天照大神が旅立つ孫に贈った三つの「御神勅」とは (2/4ページ)
以前、派遣しようとした時も同じことを言っていたので「やっぱりね」という感じですが、それなら……と、今度はその天忍穂耳命の息子、天照大神にとって孫(天孫)に当たる天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎのみこと)……これまた長ったらしいので略して邇邇芸命(ににぎのみこと)に「あなた、お行きなさい」と命じたところ、今度は快諾してくれました。
あぁ良かった……とは言うものの、自分で命じておきながら、やっぱり可愛い孫が旅立ってしまうのは心配でなりません。
そこで天照大神は邇邇芸命が葦原中国へと旅立つ(天孫降臨)当日、邇邇芸命に餞(はなむけ)を贈りました。
天壌無窮(てんじょうむきゅう)の御神勅(ごしんちょく)まず、天照大神は邇邇芸命に草薙剣(くさなぎのつるぎ)を授け、こう言いました。
【意訳】「良いですか。末永く実り豊かな葦原中国は、私の子孫が王(きみ。君主)となって治めるべき場所ですから、皇孫(すめみま)であるあなたが治めなさい。あなたの子孫が終わりのない天と地(天壌)のごとく栄えるよう、よい政治をするのですよ」
【原文】「葦原千五百秋之瑞穗國、是吾子孫可王之地也。宜爾皇孫、就而治焉。行矣、寶祚之隆、當與天壤無窮者矣。」
※『日本書紀』巻第二 神代下より。以下同じ
天地の窮まり無きごとく栄えるように。