日本最古の老婆心?天照大神が旅立つ孫に贈った三つの「御神勅」とは (3/4ページ)
葦原千五百秋之瑞穂國(あしはらのちいおあきのみずほのくに)とは「葦が生い茂る湿地(稲作に適した豊かな土地)に瑞々しい稲穂が末永く実る豊かな、美しい国」を意味する葦原中国の別名で、天照大神の孫である邇邇芸命が治め、その子孫が永遠に栄えるよう、言霊(ことだま)を贈ったのでした。
これを「天壌無窮(てんじょうむきゅう)の御神勅」と言います。御神勅(ごしんちょく)とは神様の御言葉、特に命令を言います。
宝鏡奉斎の御神勅次に天照大神は、邇邇芸命に八咫鏡(やたのかがみ)を授けて言いました。
【意訳】「我が孫よ、この鏡を私と思ってお祀りし、折にふれて向き合いなさい。あなたの心を映し出し、求める答えを導いてくれるでしょう」
【原文】「吾兒、視此寶鏡、當猶視吾。可與同床共殿、以爲齋鏡。」
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鏡は太古の昔から心を映し出す神具として尊重され、現代でも神社の御神体や依り代としてお祀りされているのは、こうした故事によります。
これを「宝鏡奉斎(ほうきょうほうさい)の御神勅」と言いますが、昔から女性が大切な人に鏡を贈るのは、その不思議な力に御加護を願ったからでしょう。
斎庭稲穂の御神勅最後に天照大神は、身に着けていた八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を外し、一房の稲穂と共に邇邇芸命へ授けて言います。