日本最古の老婆心?天照大神が旅立つ孫に贈った三つの「御神勅」とは (1/4ページ)
昔から「可愛い子には旅をさせよ」とは言いますが、自分の元から巣立っていく子供や孫を見送るのは、いつの世も辛いものです。
愛情ゆえにあれこれと心配してしまう「老婆心」は神様たちも同じ……そこで今回は日本の神話である『古事記』『日本書紀』より、旅立つ孫を想う祖母のエピソードを紹介したいと思います。
旅立つ孫に「贈る言葉」今は昔、天上の世界である高天原(たかまがはら)を治めている女神・天照大神(あまてらすおおみかみ)は、地上の世界である葦原中国(あしはらのなかつくに。現:日本の大部分)を治める大国主命(おおくにぬしのみこと)に対して、紆余曲折の末に国を譲らせました。
かつて国譲りの会見が行われた現場・稲佐の浜
(※このエピソードが有名な「国譲り」ですが、その詳細はまた今度)
「さて……譲らせたはいいものの、葦原中国を誰に治めさせようかしら……」
まずは息子の正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)……長いので略して天忍穂耳命に「あなた、お行きなさい」と言いましたが、彼は「あんな物騒なところに行きたくない」と嫌がります。