いつか彼女が振り向く日まで。江ノ島・鎌倉に伝わる弁天様と五頭龍の恋物語 (3/4ページ)
しょげ返る龍王に、弁天様は言います。
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江ノ島に降り立つ弁天様(イメージ)
「私はあらゆる生命をはぐくみ、徳をもたらす使命を帯びてこの地上に参りました。しかしあなたは無慈悲な殺戮を繰り返し、その醜い心と姿で、どうして私と共に生きていけるでしょうか」
【原文】「われ本誓ありて、あまねく群萌をはくくむ。好生の徳物にあまねし、汝慈憐なくして生命をたつ、心すかたともおとなしからす。何所配偶の好述なからんや……」
※『江島縁起』より。
なまじプライドの高い男だと「ケッ。お高くとまりやがって、お前なんかこっちから願い下げでぇ!」などの捨て台詞と共に去っていくものですが、よっぽど弁天様に惚れ込んでいたのでしょう。龍王は必死に食い下がります。
「これからは改心して仏の御教えに従って生きていきます。もう人は殺しませんし、毒もまき散らさないと誓います。どうか信じて下さい」
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これまでの悪行を悔い改める龍王(イメージ)。
【原文】「われ教命のままに、今よりのち物のために毒あらしとちかはむ。哀愍をたれて此志をとけしめよ……」
※『江島縁起』より。
その言葉に偽りなしと信じた弁天様は龍王を赦します。