いつか彼女が振り向く日まで。江ノ島・鎌倉に伝わる弁天様と五頭龍の恋物語 (4/4ページ)
「しかし、私には使命があるため、まだ一緒になる訳には参りません」
ここで短気な男だと「まどろっこしいこと言ってンじゃねえ!」などと苛立つかも知れませんが、龍王は違いました。
「いいでしょう。ならば私はあなたの使命をお助けし、いつかあなたに相応しい伴侶と認めていただけるまで、この地の人々を守り続けましょう」
龍王の融け合った山々が、今でも人々を守っている(鎌倉・藤沢の市境)。
そう言うなり龍王は大地と融け合い、やがて鎌倉西部に連なる山になったと言われています。
終わりに現在、この山々には湘南モノレールや道路が通り、宅地開発も進んでいます。
弁天様や五頭龍の祀られている龍口明神社の絵馬。
江ノ島観光の道中に通りがかった際には、弁天様に一途な思いを抱きながら今も人々を守り続けている龍王のことを思い出してもらえたら、きっと彼の努力も報われることでしょう。
※参考文献:
清田義英『中世都市 鎌倉のはずれの風景』江ノ電沿線新聞社、平成八1996年8月1日発行
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