遺伝子とうつ病に関する新しい研究で、過去1000本分の研究結果はまったくの無駄だった可能性が!?(米研究) (6/7ページ)

カラパイア

仮により大規模な研究で、この遺伝子に何らの影響もないという結果が出たのならば、おそらくそれは被験者の経験のせいであるというのだ。

 この主張は8000回以上も引用された。

 ボーダー氏らは事前にその議論を知っていた。そこで、調査に際して、診断方法・重症度・症状の回数・発症した回数など、さまざまな角度からうつ病を計測し、子供時代のトラウマ・成人してからのトラウマ・社会経済的困難といった環境的要因も考慮した。

 それでも関係を見いだすことができなかった。どのような環境であっても、うつ病の発症リスクに影響した候補遺伝子はなかったのだ。


・結論を出すには量だけなく質も大切

アメリカ・ノースカロライナ大学グリーンズボロ校のスザンヌ・ヴルシェク=シャルホーン氏は、ボーダー氏らが行なった被験者の経験の評価は十分なものではないと反論する。

 「代表的なストレス評価アプローチに沿って行われた計測であっても、最低記録を表すものでしかない」とシャルホーン氏。

 きちんとしたインタビューではなく、「はい」か「いいえ」だけで済ませてしまう質問票では、遺伝子と環境との関係は完全に曖昧なものになってしまう。ただサンプルサイズが大きいという量だけの問題ではなく、調査の質も大切である、というのが彼女の主張だ。

 しかしボーダー氏は、仮に「致命的な計測エラー」があったとしても、結果はなお有効だと考えている。

 シミュレーションとして、単なるコイントスによって、うつ病の診断の半分と個人のトラウマの記録の半分を入れ替えてみた。それでもなお初期の候補遺伝子の論文に見られた類の効果を検出できるほどに研究のサンプル数は十分大きかったのだ。


・科学全体への不信につながる大問題

 似たような議論は別の分野でも繰り広げられている。

 ある心理学者グループがより規模の大きい研究によって従来の結果を再現しようと試みたところ、再現できなかったということがある。だが、それに対する反論は、ただの被験者グループの違いであるというものだった。

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