ヒトの脳を持つサルをつかった研究はどこまで許されるのか? (2/4ページ)

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 アメリカ・イェール大学の幹細胞の専門家アレハンドロ・デ・ロサンゼルス氏は、「人間の病気をシミュレーションできる優れた動物モデルの研究は、生物医学の分野では長い間強く求められてきた」とその著書で述べている。

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pixabay

・ヒトの臓器を持つ動物たち

 今年4月、中国科学院昆明動物研究所の研究者が、ヒト脳の発達のカギを握る遺伝子をサルの胚に注入したと発表した。これに対しては多方面から批判が寄せられたが、人間の知能に関連する遺伝子を注入するなど、今後も実験は続けられる見通しだ。

・サルの脳にヒトの遺伝子を移植し認知機能を進化させる実験が行われる(中国研究) : カラパイア

 もう少し穏健な試みとして、遺伝子編集技術を用いることで、人間以外の動物の体内で人間の臓器を成長させようというものがある。これは不足しがちな移植手術用の臓器を確保することが狙いだ。

 基本的な理論としては、宿主となる動物の胚の遺伝子を編集し、本来のものではない臓器でもその体内で成長できるようにするのだ。

 iPS細胞はほぼあらゆる細胞に発達することができる。ならば理論的には、生来のものではない内蔵でも育てるよう遺伝子が編集された動物の胚にiPS細胞を注入することで、その体内で別の動物の臓器を成長させることが可能なはずだ。

 そして実際、ラットの体内でマウスの膵臓を成長させるといった実験はすでに行われている。それどころか2017年には、米ソーク研究所の研究チームによって、世界初となるヒトとブタのキメラが作られたと発表があった。
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