ヒトの脳を持つサルをつかった研究はどこまで許されるのか? (4/4ページ)

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  デ・ロサンゼルス氏によれば、「サル脳の部分的なキメラ化が認知能力や感情に影響を与えるかどうかは不明」であるそうだが、中国で作られたサルの振る舞いからは、普通より賢い可能性が示唆されているらしい。

 同時に同氏は、ヒトとサルの種のギャップは、ヒトと類人猿のものよりも大きいことを指摘する。そのために、懸念されるようなヒトの意識がサルに芽生えるようなことはないかもしれない。

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pixabay

・患者から求められた研究であるということ

だがこうしたキメラ研究を後押ししているのが、患者のニーズであることも確かだ。

 それゆえに、「研究を禁止するだけの切実な倫理的理由があるかどうか、特に人道的目的を上回るような理由があるかを判断するガイドラインが必要」とデ・ロサンゼルス氏は主張する。

 また同氏は、慎重な第一歩を歩みだすために、まずはサルと類人猿のキメラから始めてはどうかと提案する。こうしたキメラに異常な行動が見られないか確認し、もしあればその倫理的な意味合いを評価するのだ。


・キメラは遠回り?

 なお、キメラは遠回りなアプローチだという声もある。そうした1人であるカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学のジュディ・イレス氏は、「なぜサルをヒト化する必要があるのか?」と疑問を口にする。

 つまり科学的に正当性があるのであれば、わざわざサルをヒト化しないで、人間で実験を行えばいいではないか、というのだ。

 誤解しないで欲しいのは、イレス氏が人体実験を推奨しているわけではないということだ。むしろその逆で、この類の研究を中枢神経系で行うのは時期尚早という立場だ。

 「脳は、認知をもたらし、内省をさせ、洞察や言語を与えてくれる。私たちが踏み込むべき場所ではない。」

References:nationalpost/ written by hiroching / edited by parumo
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