ヒトの脳を持つサルをつかった研究はどこまで許されるのか? (3/4ページ)
・キメラ技術:世界初、人間の細胞が入ったブタの胎児を作ることに成功(米研究) : カラパイア
・サル脳をヒト化する
ヒト-サルハイブリッド脳を作り出すためにも同じ技術が用いられる。たとえばサルの海馬の遺伝子を編集して、そこにヒト幹細胞を注入。ヒトの海馬を成長させる。
デ・ロサンゼルス氏によれば、その結果どうなるかは「寄与率」――すなわちドナー種に由来する細胞の割合次第だという。
それが1パーセント程度なら、それほど”ヒト化”が進んでいなくても、人間に似た病気が発症する優れた実験モデルとなるだろう。
だがカナダ、クイーンズ大学の神経科学者ダグラス・ムノス氏は、それが何の1パーセントであるかが問題だと考えている。
サルが持つ全細胞の1パーセントであれば、サルらしい姿でサルらしく振舞うキメラになるだろう。だが、「もし脳細胞の1パーセントなのだとすれば、それはかなり大きな割合」となる。
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・サルの認知能力への影響は?
デ・ロサンゼルス氏は、そうしたハイブリッドサルなら苦しむ能力も向上してしまうかもしれないと懸念する。そうなれば、動物実験がサルに与える苦痛はいっそう激しいものとなる。
こうしたことや、ヒト-サルキメラには実験体としての生き方以外が与えられないなど、この類の実験の倫理面を懸念する人たちは大勢おり、ムノス氏も「正直、倫理的なことを考えるとゾッとする」と話す。