平安最強!謎の黒づくめ集団を率いた平致経の要人警護が京都で話題に【中編】 (3/4ページ)
「御沓(おくつ)にございまする」
黒づくめの片方がそう言って、致経の足元に乗馬用の沓を揃えて置くと、致経は無言のまま、藁沓の上からそれを履きます。
「御馬にございまする」
黒づくめのもう片方がそう言って、曳いてきた駿馬を差し出すと、致経はやはり無言のまま、その駿馬に騎乗します。
そして十字路の元来た方へ一度戻ると、それぞれ自分の馬と下人の馬を曳いてきて、三人とも騎乗。元からみんな馬で出て来たかのようです。
この間、余計な言葉は一言も発せられず、黒づくめ二人は明尊僧都の背後に回り、前方を行く致経と下人の四人でフォーメーションを組んで先を急ぎます。
何だか狐につままれたような気分の明尊でしたが、この後さらに驚かされることとなったのでした。
「……げに奇異(あさま)しきわざかな」それから十字路ごとに黒づくめの男たちが両脇の道から二人づつ現れ、無言で致経に跪くと自分の馬に跨って隊列に加わり、気づくと平安京を出るまでに明尊の護衛は総勢三十名に膨れ上がっていました。