噴火で炭化してしまった古代のパピルスの巻物を最新のAI技術で広げることなく解読する試み(英研究) (3/4ページ)

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でも、中に書かれた文字の視覚化を可能にする重要な構成要素を提供してくれるだろう。

これまでよりもさらにはっきりした巻物の内部構成はすぐに見ることができるだろう。文言がぎっちり圧縮されてしまっている層を探るために、その詳細の程度を知ることが必要だ。

こうした文献をデジタル的に復元して読んで解読することは間違いなくとてつもなく難しく、そして名誉あることだ。

わたしたちは、ダメージを受けたあらゆる種類の文化的遺物の、あらゆる種類の基盤に書かれた、あらゆる種類のインクを明らかにする筋道を築くことになるだろう
と語る。

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image credit:Vito Mocella / Nature Publishing Group

・手を触れることなく「ヘルクラネウムの巻物」を解読できる可能性

 こうした高解像度データをしっかり把握できれば、AIツールを使ってスキャンしながらかすかな陰影の違いをとらえることができる。

 これまでに実際に広げられて解読されている巻物の写真を集積して、古代のパピルス紙に書かれた炭素インクを識別するよう学習したソフトで、ピクセル単位でマークされている箇所を正確に特定していく。

 シールズ氏ら研究チームは、このデジタル手法で「ヘルクラネウムの巻物」の層を少しずつ"はがして"いき、実際に手を触れることなく書かれていることをあらわにすることができると期待している。

 この技術はすでに、金属を含んだほかのインクの解読に成功している。

 2015年には、シールズ氏らはこの独創的なアイデアを使って、実際に古代の文献をまったく広げることなく初めてスキャンだけで内容を読むことができた。

 炭素ベースのインクにも同じことができたら、失われた情報が詰まった文献全体が現代社会ににわかに開かれることになるかもしれない。

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