「富久」の伏線が回収。古今亭志ん生の物語の完結「いだてん」第39話振り返り

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「富久」の伏線が回収。古今亭志ん生の物語の完結「いだてん」第39話振り返り

「いだてん」第39話「懐かしの満州」が放送されました。

第一部の金栗四三の物語から語りとして関わる一方、主人公周辺のエピソードに時折絡んでいた古今亭志ん生(美濃部孝蔵)。
(古今亭志ん生が動いてしゃべる貴重な動画はこちら)

これは超貴重!落語の神「古今亭志ん生」が動いてしゃべる幻の動画が鳥肌モン!

これまでも志ん生のエピソードが大きく取り上げられることはありましたが、39話にして初めて当事者として描かれたような気がします。

古今亭志ん生

第1話で、「志ん生の富久は絶品」と書かれた父のハガキを手に志ん生の元を訪れ、弟子入りした五りん。彼がシマの孫で、そして小松勝の息子であることが徐々に明かされてきましたが、39話ではようやく父の残したメッセージにたどり着きました。

五りんが志ん生に頼まれ用意した酒がウォッカだった(勘違いでウォッカを選んだ)ことから、志ん生はウォッカの思い出の地・満州で小松勝に出会った話を語り、ここで若いころの志ん生の物語は完結します。

ウォッカ一箱飲み干して意識不明に

終戦の数か月前に慰問で満州へ渡り、そのまま終戦を迎えて帰るに帰れなくなった志ん生と圓生。ここで脱走兵となった小松勝と三人でウォッカを飲む場面が描かれました。もちろん小松勝はドラマオリジナルのキャラクターなので実在せず、この場面も創作ですが、満州でウォッカを飲んだのは事実のようです。

実際の志ん生と圓生も終戦から2年帰国できず、生きるか死ぬかの暮らしを満州で続けていました。自暴自棄になった志ん生は、ウォッカ一箱をすべて飲み干し、数日意識不明の状態だったのだそう。ウォッカ1本ではなく、6本をあおったといいます。志ん生本人は自殺するつもりだったと後に話していますが、当時一緒にいた圓生は「自殺するようなヤワな人間じゃない」と否定しています。それでも大体度数が40度以上ですから、生きていたのが不思議なくらいです。

志ん生の「富久」

満州へ渡る前は大して売れず、これといって評価もされなかった志ん生。1947年に帰国して家族の元へ帰ると、満州での経験で芸に深みが増したのか、帰国後はすぐ売れっ子の噺家となります。その志ん生が得意とした落語のひとつが「富久」でした。

古典落語「富久」は初代三遊亭圓朝の作とされており、江戸の火事と富くじの話。太鼓持ちの久蔵が火事で駆け回るのはもともと浅草から日本橋でしたが、志ん生はこれを浅草から芝まで長距離に伸ばしています。

ドラマでは、小松勝と出会ったことで浅草から芝までになったとして描かれました。実際のところはどうだったのかわかりませんが、なるほどこういうエピソードがあったのかもしれない、と思ってしまうような面白さでした。

あれほど面白い富久でなければ、勝は思わず走り出して命を落とすことはなかったかもしれない。シマの死といい、この作品は実在しないキャラクターの死がとても印象的です。

さて、第40話からはいよいよ最終章。志ん生の物語は一区切りですが、40話からも志ん生一家と弟子たちはそのまま続投です。ちなみに、志ん生の妻・りんを演じている池波志乃さんは古今亭志ん生のお孫さんです。

※次週10/20放送はラグビー中継のため休止です。

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