ニューヨークで今、何が起きているのか?空っぽ高級マンションが立ち並ぶ一方、施設に溢れかえるホームレス (1/3ページ)
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アメリカ、ニューヨーク都心部のの高級不動産市場の下落が止まらない。憧れの超高級物件には今や空室が目立ち、毎日約300人ものニューヨーカーがこの街から去っている。一方でホームレス支援施設には人だかりができている。
物価が高いことで知られる多くの都市と同じく、ニューヨークも中低所得者向けの住居を十分に提供できないでいる一方、富裕層が投資用の資産として所有するだけで、自身は決して住むことのない、まるで空中の金庫のような高級物件は供給過剰の状態にあるのだ。
・ニューヨーク不動産市場の高級化
ニューヨーク不動産市場の高級化は偶然ではない。ニューヨーク自体を高級品のように見せたいと公言していたブルームバーグが市長だった時代、世界の大富豪向けに地域全体を高級物件専用地として指定する政策が推進された。
街の労働者を追い払う民族浄化のごとき非人道的な点はさておき、この政策の問題は、超高級マンション市場を高騰させ、流動性を保ってくれる世界の富裕層が十分にいるときしか機能しないという点だ。
一時期なら広告を出してから数日で買い手が見つかったので、富裕層は大都市の超高級物件を現金と同等の流動性があるものとみなしてきた。
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・超高級物件の死のスパイラル
だが、富裕層の最重要拠点の3つまでが干上がってしまった。中国は厳格な通貨管理政策を制定し、経済は減速している。サウジアラビアとロシアの富裕層には、原油価格がピークだった頃の勢いがない。
これが超高級物件の死のスパイラルにつながった。買い手が減り、富裕層はかつてのように物件を週末に換金できる現金同様のものとはみなさなくなり、物件は売りに出されるようになった。
供給が増えれば、価格は下落する。