人を斬る「痛み」と武人の覚悟!「日本書紀」に登場する豪族・物部目の武勇伝を紹介【下】 (2/4ページ)
「私が朝日郎めを討ち取って参りましょう」
「しかし、彼奴の弓勢は侮れぬ……」
「……私に策がございます」
そう言って物部目は筑紫国企救郡(現:福岡県北九州市)の住人・物部大斧手(もののべの おおおので)に全身が隠れるくらいに大きく頑丈な楯を持たせました。これに隠れて矢を防ぎながら前進、ギリギリに迫ったら物部目が飛び出して朝日郎を仕留める作戦です。
もちろん、楯だけではなく二人とも鎧を二枚重ねに着込みます。痛いのは嫌なのでもっと防御力を高めたいところですが、これ以上着込むと動けなくなってしまうため、ちょっとくらいは我慢しなければなりません。
夜が明けて、物部目はいよいよ作戦決行。大斧手の持つ大楯に隠れながら、自身は大刀を構えて朝日郎との距離をグイグイ詰めていきます。
「来たな……!」
朝日郎が矢継ぎ早に射放つと、大楯はたちまち針の山。うち何本かは楯を貫通し、やがて二枚重ね着した鎧の装甲にも刺さり始めました。
「将軍、矢の上から矢が当たってバキバキ砕けてますぜ……」
「まだだ……まだまだ……」
近づくにつれ矢の勢いはますます強まり、ついに鏃が鎧を完全に貫通、肌に食い込んできました。