精神科医が教える「怒りやすい人」と「怒りにくい人」の違いとは? (5/5ページ)
ただ、ここでどうにかしてポジティブ思考になろうと思っても上手くはいきません。
――では、「怒りやすい人」が「怒りにくい人」になるためにはどうすればいいのでしょうか。
藤井:肉体と心を持って生きている私たちですから、肉体と心を脅かす存在を嫌い、脅かす行為に対して反発するのは当然です。そのとき、率直に毅然と「ノー」と言えればそれで足りるのですが、そうできないのは自己肯定感が弱いからです。
自己肯定感が弱い人は「ノー」と言えば嫌われ、受け入れてもらえないと恐れて、我慢してしまいます。しかし、その我慢は、自分の欲求を抑える行為ですから、自己肯定感はどんどん弱くなります。「こんな価値のない自分は、少々のことは我慢して、周囲に認めてもらわなくてはならない」という破壊的なメッセージが、潜在意識に上書きされてしまうんです。
しかし、我慢には限界があり、いつかは破綻します。いつもはおとなしく言うことを聞いている、いわゆる「よいこ」だったのに、ついに「ノー」を言わざるを得ない状況に追い込まれます。
この時、今までの恨みやつらみ、悲しみ恐れを巻き込んで怒りとして爆発します。もしくは怒りのエネルギーを借りることで「ノー」を宣言しているのです。これが「キレる」という現象でしょう。しかし、怒りをもってわが身を守ることは自己肯定感が弱い人にとって当然の反応です。
受け入ることができない状況を押し付けられたとき、その都度、我慢せずに小出しにし、率直に「ノー」ということができれば、怒りを感じることなく、もしくは感じたとしても怒りにとらわれることがなくなるはずです。
自己肯定感を強化すること。そのためには自分を大切にするため、ちいさな怒りや悲しみ、恐れにマインドフルに気付きながら、勇気をもって「できる範囲で」ノーと言うこと。それが回答になります。
(後編に続く)