〈企業・経済深層レポート〉 王者ナイキに国内メーカーが反撃 マラソン業界の“ランニングシューズ戦争” (2/2ページ)
しかし、国内のスポーツ用品メーカーもただ指をくわえて見ているだけではない。
今年元旦に行われた全日本実業団対抗駅伝でトヨタ自動車の大石港与選手は、4区(22.4キロ区間)を2位でタスキを受け取り最後は旭化成をかわしトップでタスキを繋いだ。好成績に貢献した大石選手の履いていたシューズは、「アシックス」が支給した試作品『メタレーサー』だった。
「このシューズも厚底で、つま先部分がせり上がり、曲がりにくくなっている。自然とランナーの体重移動をスムーズに前に導き、エネルギーの損失を抑えています」(実業団陸上関係者)
さらに、日本の総合スポーツメーカー「ミズノ」も今年の箱根駅伝で最終10区の区間賞を取った創価大学の嶋津雄大選手に試作品を支給している。
「同シューズは足袋のような形で、今までのランニングシューズではほとんど見たことがないタイプ。ヴェイパーフライと同様に反発性は高いようですが、カーボンプレートではなく、独自開発の硬いプレートをソールに挟んでいるようです。箱根駅伝では7人の選手が着用していて、同駅伝の区間賞を獲得した選手10人のうち、9人が『ヴェイパーフライ』だった中での快挙ということもあり、ミズノは確かな手ごたえを得たようです」(ミズノ関係者)
東京五輪を目前に、ランニングシューズにおけるサバイバル戦争が起きている状態だが、一方でナイキの厚底シューズを禁止にするという動きも出始めている。
1月15日に複数の英国メディアが、ワールドアスレチックス(旧国際陸連)が新規則でナイキの厚底シューズを禁止する可能性が高いと報じたのだ。
「ワールドアスレチックスは、『使用される靴は不公平な補助、アドバンテージをもたらすものであってはならず、誰にでも比較的入手可能なものでなければならない』という規定を設けています。現在、専門家による調査が行われている最中です」(陸上ジャーナリスト)
口の悪い陸上関係者の中には、「ドーピングシューズ」と揶揄するものまで出始めている。
「ただ、ナイキのヴェイパーフライが禁止されとしても、今後はどのメーカーもランニングシューズ開発に力を入れていくでしょう」(同)
過熱するシューズ戦争は、治まる気配がない。